オランダって性教育が発達しているって言うけど、何をどう教えてるの?

皆さん、性教育というとどんなものを思い浮かべますか?
おそらく性教育と言えば、保健体育の授業で教科書に載っている男女の裸の図を見て男子達がクスクス笑い合っていた時間を思い起こすのではないでしょうか。
先生が「セックス」「精通」などというと生徒はみんな照れ隠しなのか、ふざけて笑っていたような記憶があります。
さて、私たちが受けてきた日本の性教育方法は世界に比べて遅れを取っていると言われています。
では世界の性教育とはどのようなものなのかご存知ですか?ここでは世界の中でも最も性教育が進んでいる国として知られている、オランダの性教育についてまとめていきます。
オランダで行われている性教育
4歳から性教育?
日本では最初の性教育は早くても小学校から始まりますが、驚くことにオランダでは4歳のころから性教育が始まるようです。
その方法ですが、以下の動画のように、幼稚園や保育園の先生が絵本や動画を使って性についての授業を自然にしていくようです。
最初からいきなりセックスについての話が始まるわけではなく、どうして人々は肌を寄せ合うと思う?キスをするんだと思う?といったような問いを児童達に投げかけることから始まります。
児童達はその問いに対して、愛しているから、など、その年齢でそれぞれ思いつくアイディアを答えます。
そういった先生と児童達のやりとりで話は進んでいき、やがて愛や恋愛、男女の関係に関する内容となり、そしてセックスの話にまで至ります。
これの教え方の目的はセックスというものは愛する人への愛情表現や尊敬の延長として行われる行為だという前提を児童達に学ばせるためです。
実際にセックスの話になった時にも4歳が相手だからといってぼやかした表現は使われません。
セックスのことはエッチなどとは伝えないでしょうし、男性器のことを話す時はきちんとペニスと呼ぶでしょう。
子どもに子作りのことを聞かれた際に、コウノトリが連れてくるんだよ、なんてごまかして教えてしまう日本のそれとは全く違う感覚ですね。
性教育をきちんと行わないのは違法?
このようにオランダの性教育は4歳という早い段階から始まります。
早く始まったから早く終わるというものでもなく、その後もオランダの性教育は続きます。
初等教育での性教育はオランダの法律でも定められており、もちろんそれ自体を行わないのは違法となります。
しかし、法律で定められていると言っても、その教え方自体はフレキシブルで、 定められた原理さえきちんと教えていれば、その伝え方や教え方自体は教育者側の自由となっています。
実際多く取り入られているのはディスカッション形式。
例えばオーラルセックスやマスターベーションについてどう思うか、同性愛に対してどう考えるか、などのトピックに対して自分の意見を出し合って学んで行く方法です。
幼い頃からセックスについて学んでいる生徒達は照れることもなく、オープンに自分の意見を発言し、そして他人の意見も吸収してさらに学んでいきます。
日本人からしたら高校の授業でオーラルセックスについてみんなで意見を出し合う授業なんて想像もつかないですね。
基本的に教科書に従って授業を進める日本の教育方法とは大きく違った学び方ですし、この年代の性に対する認識の違いが分かります。
女子・男子、それぞれに対するオランダの性教育
日本の性教育は基本的にクラス全員に向けられた大まかな内容だと思います。
しかし、オランダは女性に対する教育、男性に対する教育もそれぞれしっかりと行われているそうです。
まず女性には性に対しては、セックスの意思について受け身にならないことを強く教えます。
セックスの決定権は女性も持っているのが当然であり、決して男性や友人にプレッシャーを与えられるものではないこと。
我慢する必要は全くなく、自分の意見や気持ちを相手に伝える大切さが指導されます。
そして男性には、セックスとロマンチックな感情との結びつきが教えられます。
セックスは自分の性欲に任せて行うものではなく、尊敬や愛情など、感情が伴う行為であること。
自分の性的観念が確立される前からこれらの理論をしっかりと指導されることは生徒達の今後の人生における性生活に大きな違いを生み出しそうですね。
オランダの性教育の成果
初体験はどんな思い出?
これら、日本のものとは大きく異なるオランダの性教育ですが、その成果はどうなのでしょうか。
まず、初めてのセックスに関するアンケートから、その成果は見えると言えます。
10代の若者を対象に、セックス初体験の感想について聞いた調査によるとアメリカでは70%の人達が初めてのセックスに後悔をしている、もう少し待つべきだったと思う、と答えています。
一方オランダで同じ調査を行うと、ほとんどの人が、初体験は素敵な体験だった、とても楽しかった、などポジティブな感想を残していました。
これはオランダ人がお互いを尊重し、恋愛感情などの気持ちを伴うセックスの重要性を幼い頃からしっかりと教え込まれていることが大きな理由と言えるでしょう。
セックストークのタブー感
日本ではオープンに性に関して話ができる親子は少ないんではないでしょうか。
大人がセックスに関する話題を避けていたり、隠していたりすることにより、子どもも実際に性に関する知識を得たとしても悪いことを話しているような気になってしまうのです。
一方オランダでは4歳のころから授業で性に関することをオープンに話す大人を見ており、知識もしっかりと構成されています。
その為、日本にあるセックストークに対するタブー感は少なく、何か疑問に思えば大人に聞くことが出来るし、授業でも同級生としっかりディスカッションをすることが出来るようです。
両親からこっそり隠れてアダルト雑誌を見たり、アダルト動画を見たりすることも少ないそうです。
性に関する悩みを一人で抱え込む人も日本ほど多くはないでしょう。
セックスは快楽の為の行為と思われがちですが、妊娠にもつながる行為であるのはもちろん、性感染症や最近ではLGBTなど性の多様性の問題にも繋がる重要なものです。
恥ずかしいというだけでタブー感を持ち続けることは、個人の大きな問題に繋がりかねません。
こういった意識の構築の為にも性教育は大きな役割を果たしていると言えます。
性教育の成果
前述したように、不本意な妊娠や性感染症など性に関する問題は多くあります。
オランダでのそれらの問題を見ていくと、まず10代の妊娠率はアメリカの8分の1という数字が出ており、HIVやその他性感染症の感染率も他の欧米諸国と比べても極めて低い数値に収まっています。
これは、オランダの性教育の中で避妊についてもしっかり指導されていることが大きな理由だと言われています。
例えば、避妊については小学生の時に男性器の模型を使って、コンドームのつけ方を 学びます。
日本では到底考えられないですね。
また、コンドームは多くの公衆トイレの自動販売機で手に入ったりすることを授業で教えられます。
ちなみオランダでは、21歳以下の女性は避妊用ピルが無料で手に入れることができます。
制度自体もそうですが、この制度を授業内で周知出来るということも10代の妊娠を防げている大きな理由と言えるでしょう。
海外の避妊方法に関してはこちらの記事をチェック⇒

まとめ
日本の方法とは大きく異なったオランダの性教育について書いてきましたが、いかがだったでしょうか?
驚くべき教育方法もたくさんあり、日本では考えられない教育方法もありました。
しかし、冒頭に書いたように日本の性教育は先進国の中でもかなり遅れていると言われており、この私たちの性教育に関する考え自体がオールドファッションなのかもしれません。
人間が生きていく中で重要な役割を果たす性。
それは快楽や愛情表現としてもそうですが、危険な問題と成り得る可能性もたくさん含んでいます。
そんな性と上手く付き合える社会、国を目指して日本もオランダの性教育を参考にする必要性は大いにありそうですね。